2005年4月28日
JR福知山線脱線事故の考察
なんか解明に時間がかかると言っているが、108km/hで遠心力に負けて転覆しただけじゃないんですか。ところで、電車が横倒しになるのって、「横転」じゃなくて「転覆」なんですね。
「133km/h」という試算は条件が緩すぎるんじゃないかと思う。物理の問題にありがちな、「ただし、乗客の重量は無視できるものとする」 「ただし、遠心力による台車バネの伸縮は無視できるものとする」 「ただし、線路の沈み込みは無視できるものとする」 みたいな。
乗客の影響は先日書いた。乗客が増えると重心が上がる。さて、どのくらい上がるか。まず車両の重さはって思ってググって見たが、朝日新聞の「平均30トン」という記事しか見つからなかった。車両の重さはモーターの有無でかなり差が出る。先頭車両はwikipediaによると「クハ」ということなので、モーターがない。その分軽い。重心より下の重量物が無いからモータ付き車両より重心が高い。よくわからんが、25トンぐらいで、昨日の重心もそのままということにしよう。乗車数が580人だったので、1両あたり580÷7=83人ぐらい乗ってて、1人60kgとして、人間の重さの合計が5トンぐらいですか。床上80cmぐらいの高さに5トンの重さ。車両の重心が床上40cmぐらいだったので、40cmと80cmのあいだの、5:25のあたりに重心が来るのかな? 6.6cmぐらい重心が上がる。・・・つまらん数字だなぁ。
台車のバネの影響は、遠心力で傾いた分、重心も外側にずれて転覆しやすくなる。このズレ具合は想像つかないなぁ。停車中に人の乗り降りで結構揺れているんで、それ以上の揺れ、ということで、2°ぐらいずれるんじゃないだろうか。適当だけど。
線路は結構沈む。踏み切りで電車が通過するのを見ていると、1〜2cm沈んでいるように見える。踏み切りは横断用にコンクリートが敷き詰められているので、比較的沈み込みが少ない。電車に乗っていて踏み切りを高速度で通過するときはちょっと浮いたような感じがする。ということは、通常の地面の上だと3cmぐらい沈んでいるのではないだろうか。さらに、遠心力で外側だけに加重が高まり、とか考えると4〜5cmぐらいカントが相殺されることになる。ってのは大げさだから、3cmぐらいにしておこうか。それで、有効カント67mmぐらい。
さて、これで限界速度を計算! と思ったけど面倒なのでヤメ。国土交通省航空・鉄道事故調査委員会さん、あとはよろしく。
で、速度超過で脱線したとして、なぜ速度超過になったのか。ソフト面では「過密ダイヤ」とか「運転士の教育」とか。運転士に過度の負担がなければ速度超過しなかったと思われる。ハード面では、「ATSの古さ」。新しければ、速度超過できないので脱線しなかった。
その2点どちらかが「現代的」になっていれば、脱線しなかった。どっちが重要かというと、うーん、両方。両方がんばってください。
脱線防止ガードは意味が無かっただろう。脱線防止ガードに転覆防止機能はない。
車両の「やわらかさ」という論点は微妙なところだ。最高速度でサイドからの衝突にも耐えるとかって無理だろ。そもそも100km/h超の乗り物に立って乗車する、という時点でヤバイ。立ってても死ないように作るには、クラッシャブルゾーンを100mぐらい用意しないと無理なんじゃないだろうか。サイドからの衝撃も想定するなら横幅200m。そんなの無理。ATCなどでぶつからないようにする努力をしたほうがマシだと思う。
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