2005年1月29日
次世代新幹線N700
たまにはブログらしく、記事の引用ネタ。
先端の鼻の部分が空気抵抗を減らすために1・5メートル長くなった。ワシが翼を広げた形に見えることから「エアロ・ダブルウイング形」と呼ばれる。
軒並み、「空気抵抗を減らすため」と紹介されているが、そんなことよりも重要なのは「トンネル通過時の騒音『トンネル微気圧波』を低減させる」ことである。それは同じ紙の新幹線・最速への挑戦に書いてある。
「トンネル微気圧波」の話を初めて聞いたのは、大学1年のときである。電子計算機概論の授業のセンセイは外からきた講師だった(助教授だったかもしれない)。国分寺のJR総研にいたというそのセンセイは、1時間目の授業で90分間その話をしてくれた。
つかみの話は、「飛行機と電車では、電車のほうが空気抵抗の影響をシビアに考えなければならない。電車はわずか1mに満たない間隔で、300km/hの物体がすれ違ったりする。トンネルもそうだ。飛行機は、自機だけの影響を考えればいいが、電車はそうはいかない。」
東北上越新幹線が開業した頃、トンネル付近で突然「パーン」とカン高い音が発生するという不可思議な現象に見舞われた。イロイロ調べたところ、反対側から新幹線が入ってきた時に、その音が発生していることが分かった。
右から左へ新幹線がトンネルへ突入すると、
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みたいな圧縮波が発生し、気圧の高い部分は音速が早くなるので、だんだん
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みたいに尖っていき、最終的には
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って感じになって、これがトンネルを出る瞬間に微分したような波形になって「パーン」という音になる、ということが分かったんだそうな。
それを回避するためには、基本的には速度を落としてトンネルに進入するしかないんだけど、それは無理なので、何とかしなきゃならない。そこで考え出したのが、トンネルの前に、トンネルの断面積より大きなフードのようなものを取り付けること。これにより圧縮波の気圧差を低減させる。
しかし、なぜ、東海道新幹線ではこれが発生しなかったのか。それは、東海道新幹線は砂利が敷いてあるため、それが一種の吸音材として働いたからではないか、と思われる。東北上越新幹線は新しいので全面コンクリートのため、圧縮波が伝わりやすい構造になったしまっていたと考えられる。
そしてその後、車両の高速化に伴い、鼻が伸びていく事になる。
この話をしたセンセイは、流体力学が専門で、圧縮波のシミュレーションをしていたそうだ。FORTRANで。
その後、新幹線の鼻を見るたびに、この話を思い出す。